うつ患者にどう接するか-03

うつの診断を受けると、たいていドクターからいろいろなアドバイスをいただきます。
それは主に今後の生活に関するもので、
今では一般によく知られたものでもあります。

「うつになったのは、あなたのせいではない」
「頑張らなくていい」
「今は心と体を休めることが大事」
「必ず治るから心配はいらない」
「ただし時間がかかるので、焦らずに」
「薬はきちんと飲んで、自己判断は禁物」
「心配になったら、医師に相談」
…まぁ、こんなところでしょうか。

これ、うつ患者に向けたアドバイスではあるのですが、
そのまま「うつ患者の家族」に対する忠告としても通用すると思うのです。

たとえば家族がうつを発症してしまうと、
やはり家族としては「なぜそうなったのか」を気にします。
腫れ物にさわるような感じになりがちですし、
少しでも改善に役立ちたいと考えるでしょう。
ネットや書籍で「うつには◎◎が効く!」などという情報を知れば、
頼ってみたくなるかもしれません。
にもかかわらず、なかなか症状が回復しないと焦りもするでしょうし、
「このままずっとこのままなのか」と、暗い気分にもなるでしょう。

ですがこんなことを続けていると、ご家族も道連れになってしまいます。
「うつの家族がうつになる」というパターンです。
まさに最悪の状況になってしまうわけです。

うつ患者の家族は、本人とはまったく別の意味で辛い毎日を過ごすことになります。
私も三年間の経験を思い出すと、自分自身もさることながら、
家族…ことに女房はよくまぁ耐えられたもんだなぁと感心します。

ですがあれこれ考えてみると、
何かと世話をしたからといって、うつが回復するわけでもないし、
素人考えで◎◎療法とかやってしまうのは決して褒められたことではないし、
薬を飲んで落ち着いているのなら、それ以上に手の出しようがないし、
焦ったり心配したりしたところで、何がどうなるものでもありません。

本人の調子が良いときなどに、話かけてくるようだったら
ただ「うんうん」と話を聞く。その程度で充分です。
たったその程度のことでも、患者本人はとても楽になるのです。
本人から「こうしたい」といわれたら、できる範囲で応えれば良いでしょう。
それ以外はあまり手出しせず、世話をやかずにそっとしておくのも愛情です。

それはご家族の心身の負荷を軽くするためでもあるのです。

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