前記事の続きでございます。
うつを患った人に対して、どう接するか。
これは、相手との関係と患者自身の状態によって違います。
いちばん深刻なのは、家族がうつを発症した場合です。
症状が軽く、日常の会話や動作に支障がないのならば、
とりたてて神経を遣うことはありません。
ごく普通に接しているのがいちばんです。
ただ、たとえ症状が軽いときでも、旅行やレジャーなどは避けたほうが良いでしょうね。
本人も気づかないうちにストレスを蓄積して、症状が重くなるかもです。
私の場合は、うつの診断を受けるかなり前から、
この「家族でお出かけ」が、なんとなく気分の晴れない時間になっていました。
ことに初詣の人波には、ずいぶんと辟易したものです。
それも今から思えば…であって、当時は自分がうつだなんて思いもしません。
すでに診断を受けているのであれば、こうした刺激は避けたほうが無難です。
症状が進み、仕事もできないくらいになってくると、
先にお話しした通り、「放置」がいちばんです。
特に回りからはちょっかいを出さず、そっとしておくのが最善だと思います。
うつになると食事が美味しくなくなりますし、そもそもゴロゴロしてばかりですから、
大して食事もしません。腹が減らないのです。
ですから「一日一食」ということも珍しくありませんが、
無理して食べさせなくても大丈夫です。
ただ、いくら「放置」といっても、それは「放棄」と違います。
見守ることは欠かさずにしてください。
別に生まれたての新生児並みの管理保護は不要です。
一日自室にこもりきり…という状態なら、一日に何度か様子を覗うくらいで大丈夫です。
何ごともなければそれで良し、もしも様子がおかしかったら
病院に連絡するなど、対応できるようにしておけば良いと思います。
うつ患者にとって「世話を焼かれる」というのは、たとえそれが家族であっても
「人に迷惑をかけている」ことを実感することにほかなりません。
ですから基本は放置。様子見だけはまめにして、必要なときだけ手を出す。
それを基本スタンスにすると良いのではないでしょうか。