うつ患者にどう接するか

アクセスログを見ていますと、どうもこのブログ、
ずいぶんいろいろな方にご覧いただいているようです。

できるだけいろいろな方の役に立つように、
役に立たないまでも参考になればと思ってはいるのですが、
どうしても内容が偏ってしまいがちです。
まぁ、医師や研究者といった専門家であるわけじゃなし、
自分自身の体験をもとに書くしかないわけですので、
そのあたりはご容赦いただきたいと思っております。

思ってはおるのですが、ここまでつらつらと書いてきて、
「うつ患者の家族」という視点が抜け落ちていることに気づきました。

うつは本人のみならず、周囲の人々にも少なからず影響する疾病です。
ましては家族がうつになったりした日には、
どうすりゃいいのか判らない……と、右往左往するばかりでしょう。

なので、うつ患者とどうつき合ったらよいのか、
そのあたりの話を書いてみることにします。
とはいえ、例によってベースは私の体験談ですから、
どんなケースにも当てはまるという保証はありません。
そのあたりはご承知おきくださるよう、お願いします。

***************************************

よく「うつ患者に『ガンバレ』は禁句」と言われます。
これは確かにその通りではありますが、そんなに過敏になることはありません。
「大変そうだけど…がんばってね」程度の言われ方であれば、
確かにちょっとヘコみはしますが、どうってことはありません。致命傷になることはないのです。
まぁプロレスで言うと「痛め技」でしょうか。
ストンピングとかボディスラムとか……。
マジンガーZでいうところの「ボロットパンチ」あたりでしょうかね。
…すみませんね、古すぎますね。知らない方がほとんどだと思うので、
適当にググってください。

で、実はうつ患者が「ガンバレ」以上に辛いのが、実は「手厚いケア」なのです。
つまり、家族でも同僚でも変わりないのですが、
自分を気遣ってくれ、あれこれと世話してくれることが、
実は、とてつもなく大きなダメージになるのです。
(誰もがそうだとは思いませんが…)

うつにやられてしまうと、頭の中は自己否定で満たされます。
「俺はダメな人間だ」「生きるに値しない」「人に迷惑ばかりかけている、ダメな奴だ」
こういう思考が延々とループしているところに、
手厚い気遣い・気配りをいただくとどうなるか。

「この人は、俺を気遣ってくれている」
「この人に余計な気遣いをさせてしまった、俺のせいで」
「俺がダメだから、周りに迷惑ばかりかけるのだ」
……こんな感じの思考プロセスが続き、それがまた強烈な自己否定を呼びます。

これはかなり強烈なダメージを食らいます。
これまたマジンガーZでいうと「アイアンカッター」クラスでしょうか。
致命傷には届かないながら、かなりのダメージです。

ですから、「放置」されているのが、いちばん心地よいのです。
…心地よいといっても、うつ絶好調の頃はソファーでぐったりと横になって、
日がな一日何もせずにいるわけですが、それでも変に手厚くケアされるよりも、
放っておかれるほうが気が楽なのです。

幸か不幸か、私のうつが最悪だった頃、女房は私を「完全放置」という状況でした。
基本、何も言わない。励ましもしないし、ことさら世話もしない。
私は仕事部屋のソファで一日中過ごしていて、トイレと食事以外は部屋から出ません。
食事どきになると女房は仕事部屋のドアをそっと開けて、
私がソファでぐったりしていれば、そのまま何も言わずに出ていきますし、
起きていれば「ご飯どうする?」と尋ねます。
余計なことは一切尋ねません。
体調はどうだとか、前より良くなってるんじゃないかとか、
そうしたことは何も言わないのです。
基本放置。私が少し調子の良いときでも、
とりたてて気を使うことなく、ごくごく普通に接してくれました。

これは、本当に楽でした
変に気を使われていたら、私のうつはもっともっと長引いていたことでしょう。

うつ患者には、まず必要以上のケアをしない
逆説的な言い方ですが、これは意外と有効な方法ではないかと私は思っています。

ごめんなさい!コピーはできません。
タイトルとURLをコピーしました