病状のバロメーターを持とう

今日は午後から小雨のちらつく中、
電車に揺られて取材に行ってきました。
ビジネス系の書籍の仕事で、約3時間、一対一での取材です。
かなり有意義なお話をいただけたので、
これからの執筆にも力が入りそうです。

ここでちょっと注釈ですが、私、編集ライターを生業にしています。
そのため人に会い、話を聞くというのが、かなり重要な作業になります。
このところまとまった「書き仕事」をいただけているので、
今月いっぱいくらいは取材に出て、材料を集め、自宅にこもって原稿を書くという、
お決まりの日々が続きそうです。

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ですがうつ絶好調だった頃から比べると、
よくもまぁ、ここまで回復したものだと思います。

当時はまず、小雨まじりの天気がダメでした。
膝の痛みで天気が判るお年寄りのごとく、
低気圧がやって来ると、とたんにうつ気分に拍車がかかったものです。
気温と気圧が低く、湿度が高い。こんな日はダメダメ確定で、外出するなんてもってのほか。
たいていは、低気圧が去ってくれるまで、ひたすら寝て過ごしたものでした。

電車もダメでした。
密閉された空間の中で、他人と一緒にいるというのがダメなのです。
車内の人口密度が上がってくると、それに比例して危険度も増していきます。
ラッシュアワー並みの満員電車なんぞに乗った日には、
駅をふたつ過ぎるあたりで、すでに頭はぼうっとし、目まいが止まらず、
動悸と息切れが激しくなって、立っていることもできない状態になります。

人に会って話を聞くなどということは、まさに自殺行為です。
よく見知った相手との電話にも苦痛を感じ
近所の方々との世間話でさえ切迫感を感じるのですから、
仕事で取材…など、できる道理がありません。

このように、うつにやられまくっていた頃の私は、
「あれもできない、コレもダメ」という状態でした。

ですがこうした「不自由さ」というのは、病状のバロメーターともいえます。
自分がどれほどの病状にあるのかを、知る手がかりにもなるのです。

たとえば、今までは誰かと会話することも恐ろしく、煩わしく思っていた。
でも今日は、かかってきた電話に出ることができた。
…これはひとつの進歩です。
昨日まではひたすらソファに横たわり、悶々と一日を過ごしていた。
でも今日は家を出て、少しだけではあるけれど外を散歩することができた。
…これは明らかに病状が改善しているしるしです。

このように、うつという病気が「良くなっている」「改善されている」ということを、
実感できるのです。これは本人にとって、大きな励みになります。

もちろん、逆のケースもあります。
昨日まではできたことが、今日はできない。
ずいぶん良くなったと思っていたのに、また病状が悪化してしまった。
残念ながら、そうしたこともあります。

ですが「うつはアップダウンを繰り返しながら回復していくもの」ということを知っていれば、
そうした「波」も、回復のしるしと捉えることができます。

このあたり、ダイエットと似ているかもしれません。
最初のうちは順調に体重が減っていくのですが、ある程度のところまで減量すると停滞期に入り、
体重は小刻みな増減を繰り返します。
そこで諦めてしまうと、そこから先へは行けないのですが、
諦めずに地道な努力を続けていると、しばらくしてまた減量していくようになります。

うつから抜け出すには、まず「うつ」そのものを知ること。
そして病状のバロメーターを持って、自分自身の今の状態を知ることです。
そのうえで焦らず、余計なことを考えずに、「今できること」をやることです。

うつは不治の病ではありません。
必ず治せますし、二度と再発しないよう、予防することもできます。
いま闘病中の方々には、そのことを忘れないでいただきたいと思います。

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