いつの頃からか判らないのですが、
妄想…というか想像というか、しょうもないことをあれこれ思い浮かべるのが
習い性のようになっていました。
電車の車窓から見える眺め、街を歩いていてすれ違うひとびとの姿、
いろいろな場所で断片的に聞こえてくる会話などから
勝手な想像を膨らませ、さまざまなシーンを思い浮かべていくのです。
たとえば、駅の改札前で誰かと待ち合わせをしているとき。
大きな駅であれば、電車がホームにすべりこむたび、
たくさんの人が改札からあふれ出し、そそくさと散っていきます。
その中で私のように、誰かと待ち合わせをする人たちが
思い思いの場所で思い思いのポーズで
誰かを待っていたりします。
そういう人たちをそれとなく観察して、
勝手はストーリーをでっち上げ、一人で勝手に楽しむわけです。
春っぽい明るい服を着た若い女性が、カフェの前に立っている。
両足を揃えて、背筋を伸ばした立ち姿は、いかにも育ちが良さそうだ。
そこそこの家庭で、ちゃんとしたご両親に育てられたんだろうなぁ。
肘に小さなバッグをかけて、スマホをいじっている。
くりっとした大きな目がチャーミングだけど、彼氏を待ってる感じじゃないなぁ。
たぶん、女友達と待ち合わせなんだろう。
買い物か、それとも食事かなぁ。
いや、あの雰囲気だと劇場でオペラ観劇とかかなぁ。
…とまぁ、そんな妄想を膨らましまくるわけです。
これが意外と楽しいんですよ。
もちろん、私の妄想はあくまで妄想ですから、
現実はまったく正反対だったりします。
清楚な彼女のところに「待った?」とばかりに
えらくダッサい男が登場したりすると、後ろから踏んづけたろかと思いますが
まぁ、現実なんてのはそんなもんです。
…いや、もしかしたらあの男は彼氏じゃなくて、
少々デキの悪い弟君なのかもしれない………などと、
妄想は尽きることなく広がっていくのですが。
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そして駅といえば、なぜかは判らないのですが、
たいていの場合、「別れ話がこじれてるカップル」が高確率で存在します。
ちょっと気をつけていると、こうしたカップルはかなり目撃できます。
改札の外、人々が慌ただしく行き交う流れを避けるように柱の影で、
いかにも気まずそうに向き合っている男女の姿を、よく見かけるのです。
たとえば、パッと見20代前半くらいの若い男女がいて、
女が下を向いてうなだれている。男は、そんな女を扱いあぐねている。
そんな状況を発見すると、私は即座に「当てレコ遊び」を始めます。
そのふたりに合わせて、勝手にセリフを当てていくのです。
女「…もうダメだよぅ…限界だよぅ…」
男「なんでだよ、そんなこと全然ないじゃんよ」
女「…ちがうんだよ…そういうことじゃないんだよ…」
男「何が違うんだよ、まるで問題ないじゃんか。大丈夫だって」
女「なんで判ってくれないんだよお! そんなんじゃないんだよぉ!」
…などと、人のトラブルを勝手に鑑賞しながら、
特にストーリーを作るでもなく、
勝手な妄想からセリフを作って、当てていくのです。
これがね、妙に楽しい。
罰当たりにも程がありますが、まぁ実害があるわけでもなし。
こんな「妄想遊び」であれば、本当に一日中でもやっていられます。
想像力が豊かといえば聞こえは良いですが、
正直いって人に大いばりで吹聴できる性質のものでもありません。
ですが私の場合、ライターという仕事においてこの性質は
実際にとっても役に立ってます。
それを思うと、芸は身を助く…ということなんだろうとも思っていますが。
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なんか今回は、「うつ」にはまったく関係ない話になっちゃいました。
なっちゃいましたが、この手の「何の役にも立たない」ネタは、
実はいろいろと出てきそうなのです。
なので「妄想とたわごと」というカテゴリを新たに作りました。
まぁゴールデンウイークも始まることだし、
ちょっとここらで下らぬネタを投下するのも良いかなと思った次第です。
お嫌いでなければ、お付き合いくださいませ。