さて、昨日の記事で「うつに効くサプリなどない」と断定的に言いましたが、これはあくまで「医薬品のように効く」という前提条件がついてます。
つまりは、医薬品のように生理的な作用機序が明らかになっていてなんちゃらかんちゃら…という、「うつに効く」というメカニズムが検証され確認されたサプリなんぞありませんよ、ということです。
…そんなものがあれば、とっくに薬になってますよ。そうでしょ?
これはうつに限りませんが、いわゆるサプリメントというのは、基本的に「効かない」と思って間違いありません。頭の回転が良くなるとか関節の痛みが軽くなるとか肌がモチモチになるとか糖尿病が良くなるとかガンが治るとか、そうした効果はまったくないと考えてよいです。
ですがひとつだけ排除できないものがあります。それが「プラセボ効果」です。
鰯の頭も何とやらと言いますが、このプラセボ効果というのは、人の生理的反応を考えるうえで、実はとてつもなく大きな力を発揮するらしいです。…「らしいです」と表現が控えめなのは、それを科学的に検証する場面に私が立ち会ったことがないからですが、その力の強大さは容易に想像できます。
私は広告業界にいたころ、さまざまな健康食品…いわゆるサプリの広告に関わっていました。今もおそらくさして変わらないと思うのですが、当時、その業界ではキノコやら水やら芋やら木の根っこやら、ありとあらゆるものがネタになり、「これで○○病が治る!」と、暗示明示が入り交じっての広告合戦を繰り広げていました。
で、それらさまざまな商品を、これまた物好きというか溺れる者というか、バカみたいな高値にもかかわらず買って飲む人たちがいて、しかも驚いたことに「効いた! 治った!」という人たちが実際にいたのです。
普通に考えれば、そんな効果が表れるわけがない。にも関わらず、実際に効果があったという例が少なからずあって、また検査をしてみると確かに数値が改善されていたり、ガンが縮小していたりするんです。
まさにプラセボ効果。ですが、明らかに効果が見られたことには間違いありません。
こうしたことを考えると、毀誉褒貶の激しい健康食品やサプリメントというものにも、それなりの存在意義というものはあると思います。
ただ問題は、それを過剰に信奉してしまうこと、そしてその結果として起こりうる、適切な医療機会を逃してしまうことです。