一度「いい人」を辞めてみよう

うつから脱出したあとで、過去の自分をあれこれと顧みてみると
その当時には思いつきもしなかったいろいろなことが、
数多く目に付くようになりました。

なぜ自分はうつになったのか、なぜその前兆に気づかなかったのか。
どうすれば、うつを避けることができたのか。
空き地に無造作に散らばったパズルのピースをひとつひとつ拾い上げ、
それを組み立てていくような作業を続けるうちに、
「そうか、こうすれば良かったのか」「あそこに分かれ道があったのだな」
…などということが、ずいぶんと見えてくるのです。

そうした小ネタのひとつに、うつを避ける方法として
「いい人を辞める」というのがあります。

まぁ世の中の人のほとんどは「いい人」でいたいものです。
好きこのんで「イヤな奴」になりたい、と願う人はよほどのへそ曲がりか、
あるいは修行中の役者さんくらいなものでしょう。
ですが、多くの人が勘違いしているんじゃないかと私が感じるのが、
「いい人」=波風を立てない=自分を抑える…という図式です。

人づきあいが穏便で、誰からも好かれる人は、確かに「いい人」の典型です。
そつなく、慎ましやかで、我を張ることがありません。
サザエさんでいうところの「舟かあさん」ですかね。

ですが「我を張らない」ということと「自分を主張しない」ということは、イコールではありません。
「自分を抑える」ことが「波風を立てない」ための唯一の方法ではありません。
どうも、そこを誤解している人は多いんじゃないのかなと思うのです。
むしろ、自分自身の事情なり何なりをきちんと主張して、
相手の主張もきちんとくみ取って、
そのうえで「どうしよう?」という方向に持っていけば、とても建設的な話ができると思うのです。

もちろん、話の通じる相手ばかりでもありません。
価値観のまったく異なる相手とこうした話をするのは、本当に骨が折れるものです。
ですから、まずは「できるところから」でも良いと思います。

相手に譲る、相手を立てるという意識は、日本精神の美徳のひとつです。
ですが、謙譲と卑下はまったく意味が違います
誇りとともに確固とした自分を持ち、そのうえで相手に譲る。
そのように人づきあいをこなせたら精神衛生上好ましいのはもちろん、
はた目にもえらいカッコ良く見えるでしょう。

どうですか、ちょっとだけ勇気を出して、「いい人」を辞めてみませんか?
それで壊れてしまう人間関係ならばその程度のものですし、
試してみる価値は充分にあると思うのですが、いかがでしょう?

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