私がうつの診断を受けたとき、ドクターからうつについてのいろいろな情報を聞かされ、
また「うつ治療の手引き」みたいなリーフレットを手渡されて
生活指導のようなことをされたような記憶があります。
で、その小冊子の記事やドクターとの話から、
うつからの回復は「おおよそ3ヶ月から6ヶ月」というのを
ひとつの目処にしていました。
ですがこれはあくまでも「目安」であって、おそらく平均値ですらありません。
実際、うつから回復するのにどれくらいの時間が必要なのかは
人それぞれに大きく違うでしょうから、「だいたい◎ヶ月」なんて、
言えるものではないのです。
にもかかわらず、私が(そしておそらくは他のほとんどの患者さんが)「3ヶ月から6ヶ月」という
時間的な目処を告げられたのは、たぶんそれが「耐えられる期間の目安」だったのでしょう。
何かおかしい……と感じて精神科に出向き、「うつですね」と診断されれば、
その瞬間からあっぱれうつ患者の仲間入りです。
もちろん嬉しくもなんともないことなのですが、
そうなると次に気になるのは「どれくらいで治るのか」です。
当然、その疑問を医師に投げることになります。
「先生、治るのにどれくらいかかりますか?」
さすがにそんなとき、お医者さんも「う〜ん、わかんないねぇ」とは言えません。
患者が不安を膨らませるばかりだからです。
「大丈夫、すぐ治るから」とも言えません。
実際に、うつは「心の風邪」などと言われながらも、
風邪のように「数日寝てれば治る」というものではないからです。
「何ヶ月かかるかなぁ。長い人だと3年とか5年とか…」
確かにその通りではあるのですが、こんなもの言いもしにくいでしょう。
こんなことを言われたら、患者は「そんなにかかるのか!?」と、
回復を諦めてしまいかねないからです。
治りたい、回復したい、元気になりたいという気持ちを諦めてしまったら、
どんな病気でも治るものも治りません。
それだもので、お医者は「3ヶ月から6ヶ月」というラインを提示するのでしょう。
確かにこれくらいの時間ならば、頑張れるような気もします。
ですが実際には、うつの回復は本当にゆっくりです。
レベル10から8へ、さらに6へと回復したと思うと、
その翌日にはレベル9まで落ちていたりします。
こうしたことを延々と繰り返し、良くなったり悪くなったりが交互に訪れます。
全体的には回復基調にあっても、それを実感することがなかなかできません。
それだもので、ついつい焦りがちになってしまい、
独断で病院を替わったり、薬を減らしてみたりします。
ですが、うつの回復は本当に時間がかかるものです。
そして細かな上下動を繰り返し、少しずつ良くなっていくものです。
決して坂道を登っていくような、階段を上っていくような、一本調子にはなりません。
ですから、とにかく長い目で見て、焦らないこと。
そして余計なことは考えず、少しでも自分がラクができるような環境を整えておくこと。
まずは、ここから始めることをお勧めします。