独り者がうつになったら

正直いって、タイトルを書いたとたんに「書きにくいなぁ」と思うテーマです。
独身で、しかも一人暮らしの方がうつを患ったら、いったいどうなるのでしょう。

私自身は二十代前半から結婚まで、12年ほど一人暮らしをしていましたので、
それがどういう環境かはよく知っています。
まぁ自分の好き勝手に過ごすことができる代わり、
何が起ころうと自分ひとりで乗り切るほかありません。
風邪をこじらせて高熱を出そうが、変なモノを食べて腹痛にのたうち回ろうが
何しろ金が無くって給料日まで水だけ飲んで過ごすしかないハメになろうが、
すべては自分の思考と決断、
それに伴う自己責任で生きていくほかないのです。

でもねえ、さすがにうつを発症してしまったらねえ…。
これは緊急事態だと思うのですよ。

その人なりの事情によって違いますが、
まず両親なり兄弟なりがいて、普通に行き来があるのなら、
うつを発症した時点で、それを伝えておいたほうが良いです。
恥ずかしいとか、みっともないとか、そんなこと言ってる場合じゃありません。
いま、自分がどういう状態なのかを。
「いざという時には動いてもらえる」人たちに、知っておいてもらうのです。

そのうえで、親兄弟に助けてもらえる状況ならば、
素直に助けてもらいましょう。
たとえばしばらく親元に戻って静養するのも良いでしょう。
仕事ができずに収入が途絶え、そのために逼迫しているならば、
援助してもらえるよう、お願いするのも良いでしょう。

「親兄弟に甘えたくない」
そんなカッコつけたお題目を掲げていられる場合ではありません。
頼れるものは、とにかく頼りましょう。
ただ、いきなり赤の他人やら近所の方々やら職場の同僚やら、
さらには自治体やら公共団体やらに頼るのは、少々順番が違うと私は思っています。

なので、まずあなたの家族に頼ってみるところから
始めてはいかがかと思うのです。

うつは面倒な病気ではありますが、その発症の原因のすべてが、社会にあるわけではありません。
むしろその多くが、個人の資質に関係しているのです。
私自身はそのように考えています。

ですから治療をするにしろセフティネットを設けるにしろ、
各自治体をはじめとする「社会」に解決を求めるよりも先に、
まずは自分自身で解決を図るというのが本質だと思うのです。

そうはいえども、うつを発症した状態で「自分で解決する」など、
できる相談ではありません。私自身、それは身にしみて理解しています。

だから、自分の次に自分に近い存在…親兄弟を頼るべしと思うのです。
そして親兄弟も頼れないとなったら、そこでさらにその外側の、
「社会」に援助を頼るということになります。

コミュニケーションの希薄化が叫ばれて、もうずいぶんと時間が経ちます。
ですが親兄弟…血のつながった親族というものは、
やはりこうした緊急事態のときに最も頼りになるものだと思います。

…というか、頼りになるものであってほしいと、
今の私は思っています。

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