ストレスというのは本当に不思議なものです。
はた目には「そんなことで…」と感じるような、
つまりは大した問題には見えないようなことであっても、
人によってはそれが「我慢できない!」という感情を呼び起こします。
また、そこには「程度問題」という要素も入り込んできます。
たま〜にだったらまだしも、年がら年中ではさすがにイヤだ…という、
そういうことです。
となりに座っている同僚の貧乏揺すりがうるさい。
…おまけに、息が臭い。
部屋が汚い。
風通しが悪い。
たとえば派遣の仕事をしている方が、
一日二日のヘルプ要員としてこうした職場に出向いたならばどうでしょうか。
まぁ環境は悪いけど、今日明日だけだから…と思えば我慢もできます。
ですが「ここに三ヶ月」などということになれば、
ずいぶんと話も違ってくるでしょう。
つまりは「程度問題」なのです。
これは例の「海に浮かぶ船」のたとえで言えば、
錨を結びつけたロープの長さとその場所の水深の関係になります。
自分が垂らしたロープの長さを知っておき、
またその場所の水深を知っておけば、
船の航行に支障が出るかどうかを予測できる…つまり、
それがストレスとなり、さらに「うつ」の原因となりうるかどうかを
事前に知っておくことができる、というわけです。
とはいえ、これはなかなか簡単にできることではありません。
だいたい、ストレス耐性なんでものは明確に数値化できるものではないですし、
自分の置かれた環境のストレス強度も同様です。
各人の主観的な予測と判断に頼るしかないのです。
だからといって「さして役に立たない」というわけではありませんが、
それ以上にやはり、「錨の形状」と「海底の状態」のマッチングのほうが、
判りやすいうえに対処もしやすいものだと私は考えています。