まあ、通りいっぺんのやり方でストレスを完全に防げるなら、
誰もストレスに苦しんだりしません。
のっけからタイトルを否定するような書き出しですが、その通りです。
ですが完全に防ぐことはできないまでも、
それをできるだけ避ける、あるいはストレスを受けそうだと予測できれば、
いくらか心の準備もできるでしょうし、
ストレスを回避するような立ち回り方もできるはずですから、
あながち馬鹿にしたものでもありません。
さて、何度もお話ししたことですが、「何がストレスになるか」は
人によって違います。
ところが、それを自分自身で気づいていない人は、意外と多いんじゃないでしょうか?
たとえば「仕事が忙しくて、ストレスが溜まっている」という話はよく聞きます。
ですが、「仕事が忙しい」と「ストレス」をつなげる理由は、人それぞれに違います。
単に「自分の時間が持てない」からなのか。
それとも「家族で過ごす時間がない」からか。
心身の疲れ、負荷が大きすぎるのか。
もともと、さして好きではない仕事なのか。
あるいは、就労環境が良くないのか。
最後の「就労環境の悪さ」というのは、
要するに「長時間の就業が非常に心身の負担となる環境」というわけです。
これを現実的な目で見ていくと、さらに細かい話になってきます。
デスクが狭い。椅子が体に合わない。
まわりが喫煙者ばかりで、タバコを吸わない自分には苦しい。
騒音が大きく、仕事に集中できない。
同僚や上司との人間関係がぎくしゃくしている。
何がストレスになるか、本当にまちまちなのです。
これは、海に浮かぶ船が「どんな錨を持っているか」ということです。
船によって錨の形はいろいろで、そして当の船乗りでさえも
自分が海中に垂らしている錨がどんな形をしているか、
知らないということがあるのです。
ですから、まずは錨を引き上げてみることです。
自分がどんな錨をぶら下げているのか、それを確認することです。
それがバール状のものであれば「岩場には行かないほうが良いんだな」と判りますし
「じゃあ、できるだけ海底が砂地の海域を進んでいこう」ということになります。
もちろん、海底の様子をいつもはっきり把握できるとは限りませんが、
少なくとも心の準備だけはできるわけです。