自分の偽らざる感情と向き合い、何がストレスなのかを見つけ出す。
それはうつの再発防止のうえでは、とても重要なことだと私は思っています。
うつは、このストレスから受ける精神的ダメージを「避けたい」「でも避けられない」とループすることによって引き起こされると私は考えているためです。
もちろん、医師が診療のより所とするようなエビデンスなどありません。自分の経験がすべてです。ですが、おそらくこのロジックは間違っていないと私は確信しています。
うつは、非常に再発率が高い病気です。私も一度、再発を経験しました。
ですが、うつが発症する理屈(メカニズムとまでは言いませんが)を自分なりに突き詰めていき、その過程を探り当ててからというもの、私は再発を完全に防ぐことができています。
実は、再発を防ぐのは簡単なことなのです。風邪と一緒です。
寒い日に薄着をして体を冷やしたり、疲れが溜まって休息が足りなかったり、風邪をひいている人のすぐそばにいたりすると……風邪をひいてしまいます。
体がだるくなり、熱を出して寝こんでしまって、ゲホゲホと咳き込みながら あなたは思うでしょう。
「ああ、あの時○○○○○○○をしなければ、風邪なんかひかなかったのになぁ」
このような経験による学習があり、さらに学習したことを実践すれば、 それからのあなたは「めったに風邪をひかない」あなたになるでしょう。ですが経験から何も学ばず、それゆえ実践もしないとなったら、あなたは遠からず、また風邪をひくことになってしまいます。
うつも同じなのです。
私がうつを発症したことには、発症するだけの理由がありました。
それは私自身の性格や考え方といった内的要因と、周囲の環境やつき合っている人々といった外的要因とに分けることができましたが、いずれにしても発症するだけの原因、理由があったのです。
それが何だったのかを考え、探り、その原因を突き詰められたならば、話は簡単です。うつを発症させる原因となるものを避け、あるいは切り捨て、あるいは発症の原因とならないように変えていけば良いのです。
それができれば、うつ発症あるいは再発の心配をしなくて済みますし、その危険が迫ってきたときにも早期に気づき、対処することができます。
話は簡単…ではあるのですが、場合によってそれは「実践が難しい」ということもあるかもしれません。ですがたとえ実践が難しいものであったとしても、そこに間違いなく出口はあるのです。
それは、完治へと続く出口なのです。