少々古いデータではありますが、
平成23年までの厚労省の統計を見ると、
うつ患者は長いスパンで着々と増え続けています。
なんでそんなに増える一方なのか。
いろいろ理由はあると思います。
まず、社会や経済の状況の低迷。
精神疾患に対する、社会の理解と対応の不足。
で、私が何よりも大きな要因だと思っているのが、
うつをはじめとする精神疾患に対して、
ほとんどの人があまりにも無防備であることです。
私自身がそうでしたが、ほとんどの健康な人は、
自分がうつを患うなどとは、考えもしません。
ですから「うつ病」がどのようなものか、知ろうともしませんし、
予防しようとも考えないのです。
これが「うつ」ではなく「風邪」となると、ずいぶん話は変わります。
毎年のように猛威を振るうインフルエンザでなくても、
誰だって風邪で熱を出して寝こんだ経験くらいあるでしょう。
ひたすら体がだるく、熱によるのぼせや関節の痛み、咳や喉の痛みに
辛い思いをしたことがあるでしょう。
そうした経験があればこそ、風邪の季節になれば自然と防衛本能が働きます。
「今日はぐんと冷え込みそうだから、厚着したほうがいいな」
「疲れが溜まっているから、今夜は早く寝てしっかり休もう」
…などと、風邪をひかないような回避行動をとることも多いでしょう。
ですが、精神疾患……最も一般的(?)と思われるうつの場合、
それを「避けよう」と行動する人が、どれだけいるでしょうか。
これはひとえに「うつ」という病気の本質が広く認識されていない、ということが原因なのです。
そのために、根拠もなく「まぁ、俺には縁のないことだけどな」程度の認識にとどまり、
現実的な危機感を持たれていないのです。
うつは誰でも発症する可能性がある。
にもかかわらず、多くの人々はその可能性を認識していないのです。