精神科。
やっぱ最初は「行きにくい」と思うのが普通なんでしょうか。
どうでしょう?
人間ドックを受けた私が、診察担当医(内科の先生だったんですが)から
「精神科で診てもらったほうがいいね」と言われ、
左様か、とばかりに素直にメンタルクリニックのドアを叩いたのは、
もう何年も前のことです。
当時は確かに精神的にまいっていましたが、
そうでなくても「精神科には行きにくい」という感覚は、
私にはなかったですね。
たとえば、「腹が痛い→内科」、「歯が痛い→歯科」となれば、
「心を病んでるらしい→精神科」、これは当然のことです。何の不思議もありません。
なぜこうした感覚を持つに至ったのか考えてみるのですが、
その理由は自分でもハッキリとは判りません。
社会に出て、あれこれの経験を重ねていく中で
そうした価値観が身についていったのだろうと思います。
ですから、たとえばこれが20代の頃だったら、かなりの抵抗感があったでしょう。
精神疾患は「恥ずかしい病気」という認識が、
若い頃には強く残っていたと思います。
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まぁ若い頃は誰でも似たようなものなのでしょう。
若いなりに世の中というものが少しずつ見えてきて、
自分のポジションというのもほぼ正しく認識できるようになってきます。
たったひとつの武器である「若さ」というものが、
実は水爆級の破壊力を持っているということもわかってきます。
まだまだカッコつけて粋がりたい年頃ですから、
若さにモノを言わせて精一杯背伸びしたりして、
老練な大人から見れば半人前の未熟者のくせしやがって、
それでもプライドだけは三人前だったりするわけです。
ところが、経験とか人間的な幅や深みという部分は、
決定的に不足しています。そしてそれを認識しています。
それだものだから、ちょっとしたトラブルで右往左往してしまうのです。
自分に対する自信の無さ。
それが判っているから、覆い隠そうとして見栄を張り、背伸びする。
でも人間性の足腰は貧弱で、トラブルや失敗を受け入れることができない。
だから、仕事上でミスをやらかしたり、彼女に逃げられたり、
酒を呑みすぎて醜態をさらしたりすることが、
挽回不能の大失態に思えたりするわけです。
この頃にうつにやられていたら、どういう反応をしたでしょうかね。。。。
もしもの話はしにくいですが、まあ素直に精神科に出向くというのは、
なかなかしづらかっただろうとは思います。
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うつは、別に恥ずかしいものではありません。
まぁ、世の中にはまだまだ偏見が残っていますから、
わざわざ「うつでぇ〜〜す!」などと太鼓叩いて触れ回ることはありませんけども、
別に「世間に顔向けできない」というものではないはずです。
あなたがうつになったのは、あなたのせいではありません。
なろうと思ってなったわけでもないでしょう。
いろいろなことが思うにまかせず、気づいたらおかしなことになっていた。
それだけのことです。
あなたに罪はありませんし、恥ずかしいことをしでかしたわけでもありません。
精神科を受診すれば、きちんとした治療を受けられる。
それ判っていながらしないことのほうが、
よっぽど恥ずかしいことだと、私は思うのです。