うつが治ったら、こうなった-05【肩を並べて】

言うべき事を言う。

ことに仕事の場面では、言いにくいことを言わなきゃならないこともあります。
おそらくいちばん多いのは「お金の話」ではないでしょうか…。
「もうちっとなんとかしてよ」的な、値下げ圧力。
まぁ「圧力」と言ってしまうと身も蓋もありませんが。

また私のようにフリーで仕事をしていると、
お客様と私との間に編集プロダクションや広告代理店が
元請けとして挟まっていることが多く、
私のところに来る頃には作業内容とギャラのバランスがとんでもないことに…
平たく言えば「安すぎる仕事」になってしまうこともあるのです。

こういうことは、ある程度は仕方ない面もあります。
私とお客様の間に挟まっている方々は、
ある意味「私の代わりに仕事を取ってきてくれてる」わけですから、
その分のロイヤリティを私が支払うのは当然でしょう。
ですが毎度毎度、割に合わない仕事ばかりでは困ります。
それに中には「コイツなら安く動くだろう」という思惑のもと、
私を使おうとする方々も、過去にはおられたのです。
(幸い、その手の方々とはすべて縁を切ったので、今は皆無です)

作業ボリュームとその対価のバランスがとれていない。
この手の問題はどこにでも起こるものですが、
普通に考えれば発注側と受注側、二者の間の問題です。
でも、これを「二者の間の問題」ととらえると、
どちらがどれだけ押し込むか、あるいは退くかという、
押し合い相撲のような形になってしまいます。

ですが発注者にしても受注者にしても、
いちばん重要なのは、最終的にお金を出すクライアントを満足させることです。
いま、「この仕事を○○円で発注するか・受注するか」という、
交渉に勝つことではありません。
となれば、発注者と受注者は「クライアントの満足のため」という共通目標に向かい、
肩を並べて問題解決にあたることができます。
対向・対立ではなく、同じ方向を向いて問題解決にあたる、という意識です。

そうした視点に立てば、たとえばどうしても予算が足りないということになれば、
「満足のいく結果のために追加予算をいただけないか」と交渉することもできるでしょうし、
逆に限られた予算の中で「満足のいく結果」を生み出すために、
どのような方法があるかをともに考えることができるでしょう。

「白黒論」とか「オールオアナッシング」とか言いますが、
うつにやられていた頃の私は「黒一色」でした。
ですがうつから脱却できたとき、白黒はもちろん「幅のあるグレー」も手に入れた気がします。
限りなく黒に近いグレーも、ほとんど真っ白なグレーも、
はっきり見分けることはできませんが、「そんなものもあるんだろうな」と思っています。

「これしかない!」なんてことは、世の中には意外とありません。
人の生き方、ものごとの進め方なんてものは、いくらでもあります。
ものの見方をちょっとだけ変えるだけで、いろいろなものが見えてきます。
これも、うつを脱して手に入れた視点のひとつです。

なんだか今回は、分かりにくい話になってしまった気もしますが…すみません。
また先ほど「幅のあるグレー」と書いたとたんに別の話題が頭に浮かんだのですが、
それはまた別の機会にお話しします。

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