これは本にも書いたことなのですが、
うつが完治してからというもの、よく腹を立てるようになりました。
毎日のように、何かしらにむかっ腹を立てております。
もともとせっかちで気の短い性格なのですが、
子どもの頃に「怒りは悪だ」という意識に強くとらわれてしまい、
怒りを抑えることが習い性のようになっていました。
若い頃はまだ良かったのですが、中年と呼ばれる歳になってくると、
その性分のために自分の中にストレスを貯め込むようになっていました。
本来なら怒りとして発散されるべき感情を、
それと気づかずに抑えつけ、自分の中に押し込めていたのです。
それは、私がうつを発症した原因のひとつでした。
うつから解放されたと同時に、そうした「悪しき習慣」ともおさらばです。
私は「怒りを抑える」という、それまでの自分が無意識に行っていた行為を意識でき、
そうした行動を手放すことができました。
…というか、それができたからうつから完全に抜け出すことができたのだと思います。
するとあら不思議。
もう毎日のように、ちょっとしたことで腹の立つこと立つこと。
狭い歩道を塞ぐように横一列になってチンタラ歩いているおばちゃんとか、
エスカレーターの降り口に立ち止まっているおっさんとか、
小さな子供たちもいるというのに日曜の商店街をくわえタバコで歩くアンちゃんとか。
こうした方々を見るにつけ、私はムカッと腹を立てるのです。
瞬間湯沸かし器です。カチッと来ます。
もちろん、だからといっていきなり「おいゴルァ!」なんて手を出すことはいたしません。
さすがにそこまでやっちゃいますと「事件」になりかねませんし、
そんなことを毎度毎度やってたら地元を歩けなくなってしまいます。
それでも、自分の裡に湧き起こった怒りの感情を否定せず、
そのまま怒りとして認知することにしています。
……まぁ心の中で「頭から踏むぞゴラ」くらいは言いますけれども。
私の場合は「怒り」でしたが、人間の喜怒哀楽の感情というのは、
実はとてつもないエネルギーを秘めているものです。
それと知らずに心の奥底に貯め込んでいると、あなた自身を傷つけることにもなってしまいます。
その時々に生まれるあなたの感情は、あなたの心の声です。
その声をそのまま世間に投げ続けてしまうと、それはそれで問題になるでしょう。
といって、心の口を手のひらで塞いでしまったら、あなたの心が不幸です。
せめてあなた一人くらいは、自分の心の声を「うんうん」と聞いてあげてください。
それだけで、あなたの心は安心できるのですから。