うつが治ったら、こうなった-03

「人にモノが言えるようになった」…ということに関連して、
仕事の上での交渉ごとや相談ごとなども、臆せずにできるようになりました。

これはあらゆる業界に共通することだと思いますが、
仕事を発注する側と受注する側との間には、
暗黙のうちに上下関係が認識されていたりします。
発注する側は「仕事を出してやる」立場でものを考え、
受注する側は「お仕事をいただく」立場で立ち回ります。
で、現在の日本ではおそらく、それが当たり前のようになっています。

金を払う者がいちばん強く、ゲームを支配する。
まぁ世の中しょせん金ですから、そういう理屈も解らないではありません。
ですがだからといって、わがままや理不尽を通していいことにもなりません。

私は編集ライターとして仕事をしていますが、
お客様との間でしばしば持ち上がるのが、ギャラの問題です。
作業の内容と対価として受け取る報酬のバランスが悪い。
要は「安い仕事」というわけです。

それ自体、実はあまり問題にならなかったりもします。
先方にも「予算」というものがあるのだし、
それに合わせて仕事をするのが職人の腕でもあります。
(私は自分は職人だと思っています。。。)
つまり予算が少なければ少ないなりに、やりようはあるのです。

ところが、そこのところをお客様はなかなか分かってくれません。
10万円のギャラで20万円分の結果を求めてきたりするのです。
こんなとき、昔の私なら「しょうがないか…」と頭を垂れ、
言われるままに黙って仕事をしてきました。
それが「割に合わない」ものであってもです。

ですがうつを脱すると、そこで「モノ申す」ことができるようになります。
いえ、決してけんか腰になるわけではありません。
合理的かつ建設的な交渉をして、どうするかを相談するようになったのです。

クライアントが求める結果を得るために、
どれほどの時間や手間やテクニックを必要とするか。
それを金額に置き換えるといかほどになるか。
きっちりと説明します。
そのうえで、予算配分を加算できないか、
できないならば予算内で納められる最善の結果はどのようなものか。
これまたきっちりと説明します。

以前であれば、とてもできなかったこれらの交渉ごとや相談ごとが、
うつを脱した後の私には、さして苦にはならなくなっていたのです。

おそらく営業職の方であれば、こうしたことは
日々当たり前のように処理していることなのでしょう。
ですが特にそうした業務経験もなく、しかもうつにやられて人との交流を恐れていた私には
とても新鮮に感じる変化でした。

ごめんなさい!コピーはできません。
タイトルとURLをコピーしました