うつ患者は甘えていない

うつって、ただの甘えだろ?
…こういう認識が広がっている背景に、うつに対する組織や社会の「必要以上の手厚さ」があるのでは、と私は思っています。手厚さ…というか、もっと具体的に言うならば、「触らぬ神に祟りなし…って言うからな、ヘタに批判めいたこと言うと差別だ何だって言われかねないし…。だからさ、大事をとってもらって、しばらく休んでもらったほうがいいんじゃない? あ、できれば有給扱いにしてあげられるかなぁ…?」というような、何か必要以上の「腫れ物に触る感」があるような気がするのです。

ですが、まぁ「少なくとも私は」という話ではあるのですが、うつ患者はそこまでのケアを社会に求めてはいません。そりゃあ、うつ発症の直接の原因が就業環境にあったとしたら、そこのところは早急な改善を望むでしょうけれども、だからといって「うつが治るまで有給扱いにせよ」とか「治療費は会社が負担してしかるべきだ」とか「回復時には罹患以前の待遇を保証せよ」とか、そんなことはこれっぽっちも考えていないのです。ってか、そんなことを考える余裕などない、というのが本当のところなのです。

ですから社会(あるいは企業)の側でも、うつに対して必要以上にセンシティブにならないでほしいなと思うのです。その直接的な原因が職場にあったにせよ、その職場にいる人たち全員がうつを発症しているわけではないでしょう? つまりは個人の資質に帰する要因も、その発症には関わっているのです。であれば、何から何まですべて会社が面倒を見る必要がある性質のものではありません。うつの発症については、その発症原因が個人の責任によるところも多分にあるのです。

こうしたことは発症した本人も忘れてしまっていたりするかもしれませんが、同じ環境に身を置いていても、うつを発症する人間としない人間がいます。これはあきらかに「個体差」というやつで、発症する人間には発症するだけの資質がある…つまりは本人自身の問題であるのです。

そこのところは、うつを考える上で外してはいけないところだろうと思います。
周囲の皆さんが思うほどには、うつ患者は自分の境遇に甘えてはいないのですよ。たぶん。

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