「無意識のうちに身につき、行っている生活習慣」というと、
何やら不気味な感じがします。
ですが実際には、不気味なものでも難しいものでもありません。
たとえば……そうですね、
あなたが毎朝家を出て、駅までの道を歩いて行きますよね。
……私みたいな自宅作業の方や自営業の方は別ですよ。
「ふん、馬鹿にするな。毎朝、運転手が迎えにくるわ」という、
VIPの方も除きます。
で、あなたは駅までの道のりをテクテクと歩いていきます。
「昨夜のテレビはつまらんかったなぁ」
「今日はずいぶんと冷えるな、厚着してきて良かった♪」
「あ〜、今日は朝イチで営業会議だったっけ。めんどくせー」
……とかなんとか、いろんなことを考えたり考えなかったりしながら。
そうしてあなたはいつも通り、駅にたどり着きます。
何も考えていなくても、駅に着くのです。
「駅に行くには、この先の交差点を右に行って…」などと、
いちいち考えることはありません。
無意識のうちにいつもの道順をたどり、駅に着くのです。
そして改札の前まで来ると、
いつも通りの滑らかな動きでパスケースを取り出し、
自動改札に「バシン!」と叩きつけて改札を通ります。
改札を通り抜けると何ごともなかったかのようにバスケースをしまい、
そのままホームへと去っていきます。
いちいち「パスを出して…」「改札にバシンしてぇ…」などと、
考えて動いているわけではありません。
体が勝手に動くのです。
これが、私の言っている「無意識に行っている生活習慣」です。
こうした例は、毎日の生活の中で
意外と多くあるのではないかと思います。
お風呂で体を洗う順序とか、
歯磨きするとき「どこから磨き始めるか」とか、
靴を履くとき・脱ぐときは左右どちらからかとか、
サイフやスマホや鍵やら手帳やらをどのポケットに突っ込むかとか、
ショートケーキのイチゴをいつ食べるかとか、
(↑これについては、なんかルールがあると聞いたことがあります)
そんな他愛もない一つ一つのことにさえ、
気付かぬうちに「自分のやり方」というものができあがっていたりするのです。
そしてまったく意識しないまま、
日々の生活で発生するいろいろな作業を、
その「自分のやり方」で処理するようになっているのです。
これが「無意識に行っている生活習慣」です。
そして、そうした生活習慣というものが、
個人の精神活動の分野でも同様に行われており、
それが「うつ」発症の大きなカギを握っている……。
それが私の言う「うつは心の生活習慣病」ということなのです。